エジプト騒乱
現在、エジプトでは、モルシ前大統領*1の復権を求める人々*2と、治安部隊などとの間で衝突が起こり、この一連の騒動による死者は数百人に上った。
この終わりの見えない騒乱だが、一体何がどうなって起きたのか。
始まりは、2011年2月11日。この日、ムバラク元大統領が辞任した。
彼は、約30年にも及ぶ独裁政治を行ったが、チュニジアでの独裁政権崩壊に触発された民衆によって辞任に追い込まれた。*3
次に大統領に就任したのがモルシ氏である。2012年6月30日のことだ。
初の自由選挙によって選ばれた彼だったが、大統領の権限強化を唄った暫定的な憲法を発令したため、再び独裁が起こるとして反発を呼び、各地でデモが起きた。
他にも、経済政策で成果を挙げられていないなどとして反発が起きた。
モルシ氏が大統領に就任してから丁度1年にあたる2013年6月30日、 各地で大規模な反政府デモが起きた。
参加者の一部は暴徒化し、『ムスリム同胞団』本部には火炎瓶が投げ込まれるなどした。
この 混乱を収拾するため、ついに軍が事実上のクーデター*4を起こした。
2013年7月3日、シシ国防相*5が国民に向け演説を行い、憲法を停止し、モルシ氏から大統領の権限を剥奪したと発表した。
これにより、モルシ氏はわずか1年で政権の座を失った。
次の大統領が決定するまで、 マンスール最高憲法裁判所長官が暫定大統領となる。
そして現在に至る。
2013年8月14日には、治安部隊による、座り込みを行っていたモルシ氏を支持するデモ隊の強制排除が起きた。
これにより数百人が死亡したことに抗議し、2013年8月16日に、エジプト全土で大規模なデモが行われた。*6
モルシ氏支持派と治安部隊の衝突だけではなく、モルシ氏支持派と反対派、つまり住民同士の衝突も起きており、事態は深刻化している。
2013年8月17日には、この一連の騒乱による死者が800人を超えた。
また、首都カイロのモスクに立てこもっていたデモ隊が、治安部隊との銃撃戦の末解散させられた。*7
暫定政権は『ムスリム同胞団』を合法的に解散させることを検討しており、それが実現した場合、さらなる混乱が予想される。
1度こうなってしまうと、混乱の長期化は避けられない。
全く解決の糸口が見えないこの騒乱。
どちらかが屈するしか道はないのか。
我々は平和的な解決を心から願っているが、見守ることしかできない。
いち早い事態解決に向けて、暫定政府の手腕が問われることになる。
ただ1つ言えることは、絶対に人を殺してはいけない。
憎しみが憎しみを生むだけなのだから。
治安部隊が民衆へ実弾を発砲するなど考えられないことである。
どうか人間の心を失わずにいてほしい。
できるならば現場に行って双方の意見を伺いたい。
そうすれば、微かながらも解決策が見えてくるかもしれない・・・
〈参照〉*8(敬称略)
・http://ja.wikipedia.org/wiki/2013%E5%B9%B4%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%BF%E3%83%BC(Wikipedia)
・http://www.cnn.co.jp/world/35036059.html(CNN)
・http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE97E06C20130816(REUTERS)
・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E9%9D%A9%E5%91%BD_(2011%E5%B9%B4)(Wikipedia)
・http://www.afpbb.com/article/politics/2785135/6803229(AFPNews)
・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%96%E3%81%AE%E6%98%A5(Wikipedia)
・http://sankei.jp.msn.com/world/news/130704/mds13070415530017-n1.htm(産経ニュース)
・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%BC(Wikipedia)
・http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-05/2013070511_01_1.html(しんぶん赤旗)
・ http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130816-OYT1T01149.htm(読売新聞)
・http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130817/t10013844001000.html(NHKNEWSWEB)
・http://sankei.jp.msn.com/world/news/130817/mds13081722290004-n1.htm(産経ニュース)
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