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はてなダイアリーとはまた違うものをこちらに書きます。例えば、コラム的な内容や、機械の分解など、様々なジャンルに渡ります。1ヶ月に1記事ぐらいのペースで更新します。

TPPが日本に与える影響(2)

TPPが日本に与える影響(1)>>本記事

 

では、分野ごとに分けて、日本がTPPを締結した場合にどのような影響があるのか、見ていきましょう。

 

食の安全

 TPP交渉国が共通のルール作りを検討する中で、遺伝子組み換え食品の表示義務・BSE対策*1として設けた牛肉輸入基準・食品添加物の規制・残留農薬の基準 などが緩和されるのではないか、という懸念があります。

この懸念の根拠には、2013年2月に、日本政府がアメリカなどの海外産牛肉の輸入制限や国内での検査を緩和したことなどがあるようです。

 

この年は、日本でBSEに感染した牛が初めて見つかってから10年で、感染牛が見つかることもなくなってきて、また海外でも様々な対策が講じられ安全性が確認できたとして、緩和されました。

 

この時、日本は、生後21ヶ月以上の牛を検査していました。

日本では生後21ヶ月と23ヶ月という若い牛で感染が見つかり、それがこの根拠になっていましたが、精査したところ、人には感染しない特殊なものだったことが分かりました。

 

さらに、海外では発生件数も激減し、このとき食肉処理場で検査を行っていたのは日本とEUのみ。

しかも20ヶ月という基準で輸入を制限しているのは日本だけ。

 

これらがあり、アメリカ・カナダ・フランスなどから輸入の緩和などを求められ、日本はそれに応じたということです。

 

これに対する反対派の意見は、おそらく、「各国が輸出による利益を得たいがために“安全だ”と言っているだけではないのか」等だと思います。

一方賛成派は、「他国がこのような(もしくはこれより緩い)基準にしているのだから、日本もそれに合わせるのが妥当だろう。そして、全頭検査する数が多ければ多いほど多額な税金が使われることになる」等だと思います。

 

少しBSEの話が長くなりましたが、話を戻すと、「過去に、このような政治的圧力での変更と言わざるを得ない変更があったため、今回もそれが起きるのではないか」という懸念があるわけです。

 

これに対し政府は、「内閣官房」のホームページ(URLは本記事の最後の方<参照>に記載)で、

輸入食品の安全を確保するための措置を実施する権限は、WTOの「衛生植物検疫措置に関する協定」(SPS協定)において、我が国を含む各国に認められています。また、同協定では、科学的に正当な理由がある場合には、国際基準を上回る基準を設定することも認められています。

政府が現時点で得ている情報では、現在のTPP交渉においては、このWTOのSPS協定の権利義務を強化発展させる観点から、具体的には、食品の安全性に関するリスク評価の透明性の向上や、国際基準との調和や情報共有、政府間の紛争の解決など、衛生植物検疫のルールに関することが議論されており、食品添加物残留農薬基準BSEに関する牛肉輸入基準、遺伝子組み換え(GMO)食品の表示義務といったような、個別の食品安全基準の緩和は議論されていません。

こうした状況の下では、TPPにおいて、参加国が、WTO・SPS協定で認められている必要な措置を実施する権限を放棄させられるようなことは考えにくいですが、いずれにせよ、TPP交渉において、国民の食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的な根拠を踏まえて対応し、国民の安心の確保に努めます。

と、不安を一掃しています。(後半の、「考えにくいですが」という表現に少しひっかかる部分がありますが・・・。確率はゼロではない.....)

いずれにせよ、政府の立場から言うと、これらは「無駄な不安」なわけです。 

 

 

次回は「医療」について見ていきます。


>>TPPが日本に与える影響(3) へ続く

 

 

<参照>

http://www.think-tpp.jp/nation/index.html(TPPから日本の食と暮らし・いのちを守るネットワーク)

http://www.toha-search.com/keizai/tpp.htm(とはサーチ)

http://www.cas.go.jp/jp/tpp/q&a.html#3(内閣官房)

http://matome.naver.jp/odai/2129497637940780601(NAVERまとめ)

http://ja.wikipedia.org/wiki/BSE%E5%95%8F%E9%A1%8C#.E5.B9.B4.E8.A1.A8(Wikipedia)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2800Q_Y3A120C1PP8000/(日本経済新聞)

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/139343.html(NHK解説委員室)

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/niku/bse/bse.html(食品衛生の窓)

http://www.americanmeat.jp/csm/safety/more/faq/index02.html#06(BSE対策に関するFAQ)

 

 

<執筆後記>

このままのペースでいくと半年ぐらいかかってしまいそうなので、1ヶ月に1記事というコンセプトにこだわらず、できるだけ早く更新できるように努めます。

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*1:BSE(正式名称:牛海綿状脳症)は、狂牛病とも呼ばれる伝染病。これに感染した牛は最終的に死に至るが、根本的な予防法・治療法等は存在しない。これを発症した牛の特定の部位を食べるなどして人間が感染した場合、変異型クロイツフェルトヤコブ病を発症すると考えられているが、確率はかなり低く、また科学的根拠はない。